DOORS II 新たなる敵を修繕せよ!

神坂一『DOORS II 新たなる敵を修繕せよ! (角川スニーカー文庫)』角川グループパブリッシング,2008
シリーズ感想
神坂一さんの作品感想

あっちこっちいろんな世界に向かい修繕するどたばたコメディの二巻目にして最終巻。もう終わりとは驚きましたよ。
そこまでギャグ小説に親しんでいない私としては、あのハチャメチャな世界観に入れるか心配でしたが、最初のミヤの叫び「ぐがぎょぉぉぉぉぉん!?」ですんなり入れちゃいました。いや理由は分からないけど本当に。

最初の話では、妹のチサが触手になったときには及びませんでしたが、チサが頬袋の中に入れて持ってきた「何か」が気になって気になって。いや、チサの気持ちを思うと笑いっぱなしにはできないんだけども。
「もとに戻るって、そんなにいいもんなのかなぁ」とか問題提起されたりチサが行動を起こしたりしますが、すべてはシュリンの話術でなかったことに。それで、いいんかいっ！　わりと重要っぽいのに。
シュリンがＳＦを習得する話も笑った。主にＳＦを習得しようとかいうその発想が。ＳＦの力って偉大だなとうなずきそうになるけど、違うだろと突っ込みたくなる。少なくともおにぎりで敵の必殺技を防ぐとかおかしいから。あと、オチが最高でした。

変身魔法少女の話は素敵な秘密主義。名前だけでセクハラの対象ってどんな魔法少女なのやら。そして始まる空気の読み合いはどこに突っ込んでいいのやら。「童話なんかの原話って、結構エログロ多いらしいから！」がＭＶＰでしょうか。
そして最後は終わりのお話。ミヤが世界を修繕しようとしている大きな理由も明かされたり色々サプライズをしつつも、おだやかに終わります。

う〜ん、勢いまかせのギャグが魅力的でしたが、物語的にもいいもの持っているような。クールビズに対する辛らつな意見とかを始め、違う価値観から眺めた今の世の中とか皮肉っているとしか思えない。あるいは普通って何なのっていう問いかけとかね。
コミカルに見せかけ意外に深いこといってるのかもとか考え始めると頭がグルグルしてきちゃいます。
そういうときはレンチでちょちょいと頭を叩きましょう。あら不思議、わははと笑い飛ばせるとても楽しいお話に思えてきました。それでいいですよね。