きみは誤解している

きみは誤解している  Amazon
シリアス8癒し2
佐藤正午きみは誤解している (集英社文庫)集英社,2003


競輪をテーマにした短編が六編収録されています。「きみは誤解している」表題作。たまに小額をかけて楽しんでいた男が、父親が持っていた当たり馬券を発見することから狂い始める話。「遠くへ」まともな競輪ファンとであったことで、人生が変わった女性に関する話。
この退屈な人生」沈み込みという時期を周期的に繰り返す男が天才的なギャンブルの才能を発見する話。「女房はくれてやる」ふとしたはずみに競輪で女房を失い仕事も失う男の話。「うんと言ってくれ」賭けに負けない女子高生の話。「人間の屑」性格が正反対の兄弟と競輪の話。



ギャンブラーというものに覚悟もないのに踏み入れてしまった人は悲劇だし、男の一人口調でその転落していく話を書かせたら、佐藤さんはピカイチなんでしょうね〜。読んでてなんか空しくなってきますもん。ギャンブルってもっと華やかなイメージがあるんですけどもね。
まあ、ギャンブルやって高揚しているタイプの私は、絶対にギャンブラーには向かないだろうなと思いました。人生なんてギャンブルの連続だという男の主張もなんか納得。ギャンブルも人生も、客観的な勝ち負けの結果ではなく気の持ちよう一つで、どんな風にでも変化するのかも知れません。その辺り誤解しないように気をつけようかな。


佐藤正午さんの作品感想