神様が用意してくれた場所② 明日をほんの少し

神様が用意してくれた場所② 明日をほんの少し  Amazon
癒し⑩
矢崎存実『神様が用意してくれた場所2 明日をほんの少し (GA文庫 や 1-2)ソフトバンククリエイティブ,2007


不思議な出来事に遭遇してしまう香絵が主人公のシリーズ二巻目。落ちていた携帯電話を拾ったことから物語は始まります。Fuzzyさんのイラストは、かわいくてしかも落ち着いているから好み。
持ち主に電話を返しておしまいのはずの話は、持ち主の三岡が困った状況に陥っていたことから簡単には終わりません。さすが巻き込まれ体質の香絵ですな〜。
三岡の話を軸に、いるはずのない人物からのストーカー被害を訴える女性や彼女の過去がどうしても知りたいと頼み込んでくる男の話、またグミの話などがぞくぞくと絡んできます。


どの話も記憶が関係してきますね。記憶って重要なもののはずなのに、全部とっておくことはできないんだから不思議なものです。私も日記をつけていますが、一年くらい前でも日記で描かれている出来事を全て思い出すことはできません。ましてや日記に書いていないことなんて……。
読書感想にしても同じです。読み終わった直後はこんなこと思ったんだという発見やそもそも本の内容を忘れていることも。
なんにせよ、細部まで完璧に覚えていることなんてできないわけで、忘れているからこそもう一度読んでみようとか思えるのかな。忘れることはかなり非効率的だけど、悪くはないかも?


タイトルの「ほんの少し」から連想して、「少しだけ」や「もう少し」「ちょっとだけ」「少しずつ」なんて言葉が印象に残りました。「少しだけ」っていう気持ちは言葉のイメージに反して、逆に強い気持ちなのかもしれませんね。いい方向に使いたいものです。
まあ、最後のちょっとだけ眠ってしまおうと思った香絵の気持ちは、よく分かるってもんですよ。


矢崎存美さんの作品感想