「正義」「自衛隊」「警察官」

今週は『正義のミカタ』(→感想)『クジラの彼』(→感想)『小説こちら葛飾区亀有公園前派出所』(→感想)を読んだので、そこからお題を。
似たようなお題ばかりになってしまいました。逆に書きにくい。


『将来の話』


大きくなったらなにになりたい?
理由は分からないけれども、学校からの帰り道でそんな話になった。
「あたしは大きくなったら警察官になりたいの!」
「へえ、そうなんだ」
今日は学校で朝礼のときに、おまわりさんたちが来て交通安全の話をしていったけれども、そこで憧れたのかなあ。う〜ん、優しい雰囲気のあのお姉さんと柚子ちゃんのイメージがぴったりこないけど。
「悪い人をとっ捕まえて、二度と悪さをしないようにとりゃーってするの」
ああ、それなら納得。柚子ちゃんが黒ずくめの怪しい男を追っかけて後ろからとび蹴りを食らわせる姿はものすごく想像できる。
「でも自衛隊さんもかっこいいかなー」
女の子らしくない発想だな〜って思っていたら、雰囲気を感じ取ったのか、柚子ちゃんがむすっとした顔でぼくに聞いてきた。
「友也は大きくなったらなにになりたいのよ」
ぼくは柚子ちゃんの気迫に押されてとっさの誤魔化しが出てこなかった。
「……ぼくは、柚子ちゃんを守れる男になりたいと思ってるよ」
「えっ、それって」
それっきり沈黙してしまう。つい口から出てしまった告白に、後からドキドキしていると、柚子ちゃんが驚いたような笑ってるような変な顔をして言った。
「つまり自衛隊さんよりもさらに上の、無敵な正義の味方になりたいってこと?!」
どうしてそうなるんだ、と思わず叫びそうになった。訂正するのもなんか男らしくないし、そもそも力を使い果たしちゃってたから止めたけど。
「もう、正義の味方だなんてテレビの見すぎじゃない? 友也ってばいつまで経ってもお子ちゃまなんだから」
どっちがお子ちゃまなんだよと心の中で突っ込みを入れられずにはいられなかった。


もっともそのおかげで、このとき「別に大きくならなくても今だって十分なのに……」と柚子ちゃんが言ってたなんて知るのは、随分先の話になっちゃったんだけど。