エンドロールまであと、

エンドロールまであと、
シリアス⑥恋愛③癒し①
壁井ユカコエンドロールまであと、 (ルルル文庫)小学館,2007


祖母が強い力をもつ旧家の双子である右布子と左馬之助の物語。常識もずれている右布子と自分の気持ちに気づいてしまった左馬之助のやりとりにニヤニヤ。
そんな二人の日常に、女優志望だけれどもニキビが目立つようになった亜寿や病院を継がなければいけないと道を定められている西丸の映画研究部の面々が絡んできます。


それぞれ問題を抱えているものの、鬱憤を晴らすかのように映画の設営に奮闘してるところは素敵だったな〜。
ただ、部内でも嫌な嫌な空気が流れ出す辺りからもう痛々しさが止まらなくなります。左馬之助もいいやつなんだけど、なんか儚げで怖く思えてくるんだよね。普通っぽいだけに、異常な陥ったときの対処が不安定というかなんというか。双子の秘密なども絡んでくるとなおさらね。


物語の終わり方はなかなかに辛いものがあるけれども、人生のエンドロールまであと、「すこし」ではなさそうなのでよかったかな〜。予感をさせつつも、エンドロールが流れるのは、まだまだ先のようです。


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