ハルさん
藤野恵美『ハルさん (ミステリ・フロンティア)』東京創元社,2007
妻の瑠璃子さんを亡くし、娘のふうちゃんを育ててきた人形作家・ハルさんの物語。ふうちゃんが結婚式を挙げるところから、ハルさんの回想は始まります。
「第一話 消えた玉子焼き事件」幼稚園児のふうちゃんがかわいいです。名探偵になるふうちゃんの素敵な姿が浮かんできますよ。玉子焼きが消えてしまう話。「第二話 夏休みの失踪」ちょっと成長した小学生のふうちゃんがかわいいです。ふうちゃんが失踪してしまう話。
「第三話 涙の理由」お年頃な悩みも出てきた中学生のふうちゃんがかわいいです。ふうちゃんを心配するハルさんの話。「第四話 サンタが指輪を持ってくる」バイトをし始めるなど立派になってきた高校生のふうちゃんがかわいいです。落し物を返してあげようと奮闘する話。「第五話 人形の家」ずいぶん大人っぽくなった大学生のふうちゃんがかわいいです。人形が取り替えられたという連絡が舞い込む話。
どの話もミステリといえばミステリなんだけど、そんなに難しい謎解きではないです。謎が提示される楽しみよりも、そこに至るまでのハルさんとふうちゃんのやりとりが面白いです。
ふうちゃんが健気で、ハルさんの行動はもどかしくて。でも、二人の会話がいいんだよな〜。心が温まります。フィナーレにもやっぱりやられた。分かっていたけど、やられました。
この小説が好きな人にお勧めする③
①藤野さんの小説『七時間目の怪談授業』呪いのメールが発端となる話。→感想
②光原百合さんの小説『時計を忘れて森へいこう』レンジャーが探偵役を務める話。→感想
③加納朋子さんの小説『ななつのこ』作家と読者のやりとりの中で謎を解決していく話。→感想