お留守バンシー④

お留守バンシー④  Amazon
コミカル⑩
小河正岳お留守バンシー〈4〉 (電撃文庫)メディアワークス,2007


未だにお城でお留守番を続けている、バンシーのアリアを筆頭にした城の住人達の穏やかな日常を描いたシリーズ四巻目。
前回呼び出した魔人の話が続いていますが、クルセイダーのルイラムと魔女のトファニアがぶつかりあったり、シュバルツが悲劇敵な目にあっていたりするのはいつも通り。シュバルツはいじられキャラだから仕方ないですよね。
チェス勝負後のルイラムの行動はかわいいです。おっちゃんだけどさ。やっぱりルイラムじいさんは憎めません。


サキュバスのくせに男性と交わらないイルザリアが、勉強をしなすために引っ張り戻される話もあります。この話の中で、イルザリアがお城にやってきたときの過去話とかもありましたよ。
個人的には、アリアとブラド卿の絆が垣間見えるシーンがあってよかったです。ブラド卿には、もうちょっとロリコン魂を見せろよと思わずにはいられませんが。アリアは健気でいい娘じゃないか〜。
セルルマーニがイルザリアのスカートの中に入り込んだところも面白かった。シュバルツじゃなくても色々妄想を促すセリフが多発しているのは耐えられても、リビングデッドのフンデルボッチの発言にトドメをさされてしまいました。アリアの反応がグッドです。


一つ一つを見ると大事件なこともあるんだけど、わりとのんびり流れていくのがこのシリーズのいいところ。のほほんと読み終えたところで、最後にもう一つ大事件が。
それはあとがきに書かれている、これが最終巻という一文。いやはや、ブラド卿が帰ってきたらお留守番ではなくなるから、そんなに長くは続かないかもと思ってはいたものの、まさか四巻完結とは。もっと城の住人たちの過去とか描かれると思っていたのに。ブラド卿とアリアの絡みも、もっともっと見たかったのに。最終巻っていう告知までのんびりじゃなくてもいいじゃないかー。
……ん? もしかしたら、この続きはブラド卿が帰ってきてお留守番じゃなくなるから、タイトルが変更になるのかも。だからシリーズ完結、と。きっと続編が描かれるに違いない。アリアたちが帰ってくるまで、本でも読みながらお留守番することにします。


小河正岳さんの作品感想