化物語㊤

ギャグ⑤萌え④癒し①
西尾維新化物語(上) (講談社BOX)講談社,2006


主人公の阿良々木と戦場ヶ原ひたぎの妙な縁が続く物語。もとはメフィストに掲載されていたものです。
ひたぎクラブ」ひたぎがホッチキスとカッターで武装して登場をする話。
このひたぎが口を開けたときが、もう楽しくて仕方ない。笑いが止まらない。ほぼ会話で構成されているページだったら、見開き毎に笑いがきます。ケロロ軍曹とかの飛び道具もありますし。それがまた面白い。
小説を書くときに一番難しいのが笑いの要素だと思うけど、小説でこんなに笑えるのが出来上がるとは思わなかったよ。しかもユーモアというよりはギャグで。もちろん癖はありますが、ツボをつきすぎ。お前はもう笑っている、みたいな。見事に西尾さんの手のひらで転がされちゃってますよ。それが心地いい。
もうひたぎちゃんラブですラブ。ラブラブです。毒舌がこんなに気持ちのいいものだとは思わなかった。阿良々木は、おいしい役どころだなー。体張ってるし精神的にも痛めつけられてるけど。


まよいマイマイ」妹とケンカして公園に来ていた阿良々木の元に、ひたぎや羽川、そして八九寺という迷子の少女が絡んでくる話。
八九寺の第一声がぐっと心に刺さります。八九寺と阿良々木の会話も、見返してみると結構長いですが読んでるうちは楽しくてあっという間でしたよ。なんで高校生と小学生がこんな楽しい会話繰り広げちゃってるの。
八九寺萌え〜とか言いたくなりますが、ここでも光り輝くのはひたぎです。最低の男になってもいいから、ぜひ網タイツで謝ってもらいたいものだ。油性マーカーで書きなぐりたいっ! 生ぬるい展開を強引に打ち切ったその姿勢もかっこいい! ひたぎ蕩れ〜。


するがモンキー」後輩でありバスケット部のエースというかスター・駿河が阿良々木に執着する話。ひたぎや八九寺とは違った意味でおかしいですこの子。
駿河が抱える問題を解決しようとする話なので、必然駿河の描写が多くなるんだけど、それでも案の定ひたぎの敵ではありません。ひたぎちゃん最高です。ひたぎ教でも作って崇め奉ってもいいかも。


化物退治の話というよりも、ひたぎという少女に狂わされる男の子の話ですね〜。まあ、ひたぎもある意味化物級の性格なんだけど。ひたぎの毒舌に負けないよう、つっこみ担当がんばれ。激しくがんばれ、と応援しときます。
戯言みたくギャグの中でも伏線を張っとく手法は見事ですね。どの話にもオチがあるのも憎い演出ですな。下巻では隠されたまんまの過去も明らかになるんかなー。会話という会話を堪能させていただきました。ごちそうさまです。


同著者作品感想


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