レンタルマギカ

コミカル④バトル③燃える③
三田誠レンタルマギカ ~魔法使い、貸します! (角川スニーカー文庫)角川書店,2004


魔法の世界のことも知らぬまま、魔法使い派遣会社の社長になってしまった高校生・いつきが主人公のシリーズ一巻目。
いつきはドラえもんの映画が怖くて失神したこともあるほどなので、口車に乗せられて勢い社長になりますが後悔しまくり。ペットの捜索でも叫び声を挙げちゃいますし。
そんな社長を筆頭に社員のみなさんも人数少ないけど個性豊です。セーラー服を着た天才魔女・穂波は、眼鏡をかけてて優等生なのに関西弁なところがいいな。へたれな主人公のバックアップをしてる様子なんか健気や〜。
名前の通り猫を操る猫屋敷は、穏やかな笑みを浮かべつつちゃっかしているところが、らしいといえばらしい。糸目だし、猫っぽいと言えばいいのだろうか。こういうキャラがいると楽しさ倍増です。
ランドセルを背負った小学生巫女・みかんはいるだけでほのぼのしますよ。いつきに対する呼称「お兄ちゃん社長」も、くどそうな印象だったけど慣れると何かいいです。呼ばれてみたくなる。そんなみかんのぼろぼろ泣く姿を見て、頭を撫でたくなった私はダメでしょうか。無理やりにでも泣かせたい、とか思った時点でもうアウトだなアウト。
ライバル会社の頭領であり金髪縦巻きロールの美少女・アディリシアは、操る魔術のこともあって怖そうな感じがあったけど、いい娘じゃ。ツンデレとかいえそうだけど、それよりもいい娘っ子という印象が強かった。


それにしても、読むまでタイトルの意味を考えてなかったんだけど、マギカのレンタルだったのね。以前、私もファンタジー世界に派遣業を持ち込んだの書いてましたが、やっぱ自分が考え付くようなものは誰か考え付いてるもんだな〜。派遣で覇権を手に入れるとかくだらないこと考えてたもんだ。
いつきたちは零細企業だから、一人一人ががんばらなきゃいけません。それぞれの魔術特性を生かして作戦を遂行することろは、色んな設定も見ることができて楽しかったです。敵対するアディリシアたちの秘儀が発動するところも面白かったし。
いつきの眼帯の奥に隠された真実とかも絡んできて、最後の総力戦までドンドン読み進めれました。全体通してわいわいやてる雰囲気がよかったな。いつき以外にも、社員一同過去に色々ありそうで、様々に話が展開できそうで想像が膨らみます。
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