映画を見ている気分になりましたコミカルxミステリ


トニーケンリック『リリアンと悪党ども (角川文庫)角川書店,1998


webの感想をみて読んでみました。お金のために知恵を振り絞って小悪党な真似を働き、職業案内所と旅行会社を往復して働く詐欺師のバニーが、ある失敗によって大きな事件に巻き込まれていきます。そんなバニーに課せられた役割は、バニーのことを嫌うエラと天使とは程遠い印象のリリアンとともに家庭を築き、リリアンを誘拐させるという奇妙なもの。
子供なのにリリアンのしゃべりは度肝を抜いてくれますねー。湖や海での出来事を通して家族間の距離が近くなったようで、なかなか近づかない微妙なラインでのやりとりも見所。シドとエロルのお約束誘拐犯コンビの登場も楽しかったです。どのシーンも映像として頭の中に浮かんでくるようですよ。
バニーは特に最高。なんとかしてエラやリリアンの心をつかもうと苦心する場面にしても、犯人とバニーの駆け引きが交錯する緊張感が高まる場面にしても、口八丁で場当たり的にことを進めていこうとしちゃうんですから。「ぼくをペテンにかけたんだ、こともあろうに、きみまでぼくを!」などがこの話の魅力。彼に仕掛けられた罠が明かされるところはもう見逃せません。読んでてとても楽しかった〜。
同著者類似バッチ
③ まほろ駅前多田便利軒 Amazon② 陽気なギャングが地球を回す Amazon① ストリート・キッズ Amazon
この小説が好きな人にお勧めする③
①ドンウィンズロウさんの小説『ストリート・キッズ』楽しくも切ない探偵の話。→感想
伊坂幸太郎さんの小説『陽気なギャングが地球を回す』変な事件に巻き込まれていく銀行強盗の話。→感想
三浦しをんさんの小説『まほろ駅前多田便利軒』変人に翻弄される便利屋の話。→感想