ますます燃えてきましたね〜ヒートxヒート


あさのあつこバッテリー 3 (角川文庫)角川書店,2004


ピッチャーの巧とキャッチャーの豪のバッテリーを主軸に据えたシリーズ三巻目。前回の事件が尾を引き、野球部が停止状態になっているところから物語は始まります。最初は対立気味だった顧問のオトムライも、徐々に巧に引っ張られている感じがします。豪も巧に似た部分が現われてきましたね。
漫画にしても小説にしても、巧のような天才型のピッチャーが主人公の場合、壁にぶつかったときにチームメイトとの友情で問題を解決するパターンが多々ありますが、巧は馴れ合うことをトコトン嫌います。ここまで唯我独尊な中学生もなかなかいないんじゃないかな。今回もその辺りで豪とぶつかりあいますが、真摯に野球のことだけが描かれていて、恋愛など他の要素が絡んでこないことも印象的ですね〜。終わり方もさわやかで心地よいです。
書き下ろしの「樹下の少年」は、巧の病弱な弟・青波の視点で描かれた作品。たまに巧の背中を押すような言葉を投げかけている青波だけれども、心ではもっと色んなことを感じ考えているんだなってことがよく分かります。巧とは異なるタイプの純真さがまぶしいですよ。
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