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佐藤多佳子『一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-』講談社,2006
文字・活字文化の日の特集かな、新聞に載っていたので気になっていました。そのとき佐藤さんの本を読んだばかりでしたし。そんなわけで、天才的サッカープレイヤーの兄をもつ高校生の新ニと、彼の友人であり走りの才能を持っている連の話。一とあるように、このシリーズは三部構成です。
髪を派手にしていたり本番に弱かったり、高校生だけど多少やんちゃな新ニの語り口調で進んでいくのですが、これが痛快。陸上部に入る前の50m走から始まり、連に振り回され続ける新ニがなんともいえない味を出しています。ほぼ陸上のことだけが描かれており、しかもリレー種目に特化している感じ。リレー種目だけにチームが一丸となっていく様子がよい。やっぱり長距離の世界とは違うから新鮮でした。
最初は天才に囲まれて多少いじけていたのに、徐々に変わっていき意見を言うようになっていく新ニの成長過程が面白い。進んだり下がったりしながらも、自信をつけていく様子がグッドなのですよ。まさしく駆け抜ける陸上生活みたいな。今度は二年生になっているのかな、楽しみだ。
ブクマ感想集・同著者・類似バッチ
この小説が好きな人にお勧めする③
①佐藤さんの『しゃべれどもしゃべれども』噺家さんが主人公の話です。→感想
②川島誠さんの『800 (角川文庫)』二人の高校生陸上選手の話です。
③野沢尚さんのシリーズ。『龍時』サッカー選手が主人公の話です。→感想