ミステリじゃなくても面白いですね〜シリアスxバトル


森博嗣スカイ・クロラ (中公文庫)中央公論新社,2004


S&Mシリーズなどミステリ作品を書いている森さんの非ミステリ作品。戦闘機乗りの主人公・僕と、同じ基地に所属している上官の草薙や同室の土岐野、天才肌の整備士笹倉などとのやりとりが描かれています。セリフでも地の文でもかっこいい文章、というより惹かれる文章が次から次へと出てきて、それが楽しい。笑えるわけじゃないんだけど、妙にツボに入るのですよ。
分別のついている子ですが、途中で瑞季という少女が出てきます。森さんの小説で子供が出てくるのは珍しいような気がします。素敵な会話を繰り出せないからでしょうか? もっとも、S&Mシリーズくらいしか読んでないので違うかも知れません。
基地が襲撃されたり、敵側のパイロット・黒豹が登場してきたり、またキルドレという謎の単語が使われますが、それらについてあまり詳しく説明はされません。最後まで読んでも背景はつかみきれませんし、ストーリーもあるようでないような感じです。でも、それでも最後まで飽きることなく読めます。内容がないようなセリフの応酬さえも面白いし、雰囲気の力なんでしょうか。まあ、森さんの短編集でときどき出てくるような難解過ぎる話ではなく、ほどよくエンタメしてるから読みやすいですしね。何がいいってわけじゃないけど、何だか読めてよかった気分になりました。
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