遺産相続が関係するから、序盤は人物紹介を何回か見直しましたよーミステリxミステリ


柳原慧『いかさま師 『このミス』大賞シリーズ』宝島社,2005


柳原さんは、『四日間の奇蹟』などの「このミステリーがすごい!」大賞出身のかた。母と二人で生きてきた紗貴が、母親の入院中に箱の中からとある人物の遺書を発見するところから物語は動きます。ゴミ屋敷での発掘や人懐っこい男・鋭士の紗貴への接近に始まり、無言電話や脅迫状、果ては母親へと酸素を送っていたチューブをはずされるなど命の危険にも脅かされます。ソーシャルネットワーキングのサイト・ミディ(ミクシィに非ず)の日記やコメントなどから情報が漏れるなど、現代的な問題の一面も。
ただでさえ複雑な遺産相続だったのに、紗貴の恋人である優の不審な行動やあからさまに怪しげなロリコンで変態なエロ作家が登場したりと激しい攻防が繰り広げられます。第一部の「表」と第二部「裏」で構成されていますが、第二部に入ってからはやはり物語は二転三転します。とくに終盤の終盤、絵に関わるところはなかなか読ませてくれますね。
相続のマジックは、やはり一筋縄ではいかないところが面白い。この中で最も問題をややこしくしている原因は、絵画が関連してくることでしょう。本物か贋作かなどの問題もついて回りますからね。ゴッホを中心に、芸術に関する薀蓄も味わえます。また、読み終えたあとも、誰が一番いかさま師だったかなとか考えると楽しいですよ。
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