著者紹介のノリと本編のノリを足して二で割ればちょうどいいくらいかもダークxバトル


浅井ラボそして、楽園はあまりに永く―されど罪人は竜と踊る〈5〉 (角川スニーカー文庫)角川書店,2004   著者検索類似検索


ガユスとギギナのコンビが活躍するシリーズ五巻目にして、前巻の続き。アナピヤの出生を巡る旅も順調で、ガユスとギギナのやりとり以外にも、アナピヤをからかってるところとか読んでてほほえましい。前巻の旅の途中で拾ったニルギンもいい味出し始めます。
しかしそんな楽しい雰囲気も本当に序盤まで。旅の目的地であるメトレーヤに着くわけですが、着いたとたんから描写がグロイ。初っ端から嫌悪感を抱く文章が続き、なおかつ、その勢いはとどまるところを知らず人でなしレベルにまで悪化していきます。正直、二巻でのあの拷問シーンもいただけないと思っていましたが、まさかその上を軽くいかれるとは。
また、鬱展開の前半は肉体があり得ないことになっているなどですが、後半は精神的につらいことが続きます。まあ、肉体的にも精神的にもグロイ描写ばかりということです。うぎゃーと叫んでも落ち着きません。上下巻二冊かけてこの仕打ちですか。アナピヤが、アナピヤがぁ〜……。
ガユスの現彼女・ジヴーニャと元彼女・クエロとの邂逅も見所。そこで、今まで隠されていたコンビの過去に迫る部分もあったりなかったり。その影響を受けて、ジヴーニャとガユスのカップルにも変化があります。こちらの変化も、手放しで喜べるものではありませんでしたけどね。
もちろん、追跡者たちとの爆裂バトルやそれぞれの因縁、事件の黒幕の狙いなども明かされますが、いつもなら前面に出てくるバトルなどの燃えな雰囲気はあまり感じられませんでした。あんまりな鬱展開が印象的すぎたのですよ。