旅行で話題にしたばかりの赤福も出てくるでよラブxヒール


橋本紡半分の月がのぼる空〈5〉 long long walking under the half-moon (電撃文庫)メディアワークス,2005   著者検索類似検索


先月発売分の八巻で完結した半月シリーズの五巻目。この巻で一応の区切りはついているかな。さてさて、出だしから里香の小悪魔な部分がグットです。グット。そんな里香が繰り出す「チボー家の人々」絡みの話は読んでて楽しかった。裕一の勘違いで死んでしまいたくなる気持ちはよく分かるよ。似たようなことやったからー。
男の子って少しの時間だけでずいぶんと大きくなれるようです。考えてみれば、裕一が入院してから四ヶ月しか経ってないのか。このシリーズ最初の話をhp誌上で読んだのが五年近く前だから、てっきり物語の中でも時間が経っているような感覚でした。それだけ裕一の心の動きが大きかったからかも知れません。
まあ、気持ちだけが空回る裕一ってのはあんま変わってないけど……やっぱり一巻とはなんか違うな。まあ、一緒だったら一巻で終わってるわけで、ここまで引き付けられないと思いますし。一巻のときは一時の情熱でゴールに向かい、それとは異なる力で二個目のゴールにたどり着いたという違いがあるのかな。四ヶ月って短いなと思ったばかりですが、紆余曲折しながらも里香を取り巻く環境に挑み続けた四ヶ月間は長いよね、きっと。
考えてみたら、普通の家庭で普通の学校生活を送っている高校生が、個々人のつきあいを越えて相手の環境にまで踏み込む機会なんてほとんどないですよね。機会があっても踏み込まないようにすると思うし。その点、司とみゆきは普通にほほえましかったです。夏目の暗躍、司とみゆき(+山西)の作戦などもこの巻には詰まっています。本筋とは関係ないけど、亜希子さんの「ほんと押しただけなんだよね」が印象に残っています。
それにしても、言葉や行動が伴うかは置いておいて、気持ちだけで動けるってのがなんかうらやましいな。私は確定的じゃないと約束なんてできないし。私も何かきっかけがあれば変わるのかな? もう変わってるのかしらん。……ともかく最終巻まで購入済みだし、残りも徐々に楽しみたいと思います。