あまり恋愛小説の側面はないようなシリアスxラブ


桜庭一樹少女七竈と七人の可愛そうな大人角川書店,2006   類似検索著者検索


呪いとさえもいえる美貌をもつ鉄道好きな少女・七竈と同じく少年・雪風の物語。一番最初の話は、アンソロジー『Sweet Blue Age』(感想)に収録されている話で、これを起点にして進んでいきます。各話の視点は、七竈だったり雪風だったり犬だったりと変わっていきます。
アンソロジーに収録されている短編では強さが前面に出ていたからでしょうか、短編で読んだときよりも随分と印象が変わり面白かったです。本編の登場人物たちは、大仰な会話だったり美形だったりとわりとファンタジックで、かつ脆さがありますからね。このファンタジックなキャラクターをリアルに書くことが抜群にうまい。この世界観・文体はすでに完成の域に入っているようにすら感じられます。
七竈たちが暮らす田舎という小さな世界ならではのくすぐりも随所に見られとても楽しいです。また周りの世界が小さいからか、なおさら七竈と雪風鉄道模型などを通して完璧な二人の世界を作りあげています。世界を飛び出す不安、一人ずつになってしまう不安なども丁寧に描かれていて好感が持てましたよ。


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