ヒールxコミカル


矢崎存美ぶたぶた日記 (光文社文庫)』光文社,2004   類似検索著者検索


ぶたぶたさん五作目。義母の代わりにエッセイ講座を受けることになったぶたぶたさんにまつわる物語。初めてのカルチャースクールの先生役で緊張している磯貝の話「突然の申し出」出された課題を終わらせることができず焦っているOLの江本の話「二番目にいやなこと」何事にも興味がもてず引きこもりがちな少女の千奈美の話「不器用なスパイ」ぶたぶたさんに気をとられて好きな物書きもできなくなり悩む松浦の話「もっと大きくなりたい」家族にぶたぶたさんが実在することを分かってもらえない児玉の話「紅茶好きの苦悩」ぶたぶたさんとうまく付き合うことができない日比谷の話「今までで一番怖かったこと」以上六篇が収録されています。
出版社が変更されたからか、表紙がぬいぐるみでもなくCGでもなくイラストになりました。ぬいぐるみの写真が一番かわいいのにな〜と思っていたのですが、最新刊もイラストだしちょっと残念。慣れの問題かもしれませんが。そんな思いで読み始めたのですが、いやいや好きなこのシリーズの中でも特に面白い本だった。一作目ほどの衝撃はさすがにないけど、読み終えてこれまで高められていた愛着が一段レベルアップした感じです。ぶたぶたさん本人が主人公になることはなかったので、あまり分からなかったぶたぶたさんの中身。それがエッセイを通して垣間見ることができたからかな。
シリーズ通して、主人公達がぶたぶたさんを初めて見たとき大なり小なり驚くのですが、その中でも最初の話の主人公である磯貝の突込みは小気味よくて読みやすかったです。四つ目の話を読んでいて、ぶたぶたさんは周りが見えている人(豚?)だなーと思いましたし、義母や子供などぶたぶたさんの家族も本人以上に謎に包まれているなと思いました。そして、最後の話で登場するエッセイの攻撃力は最強でしたよ。