明かされるタイトルの意味が圧巻なりミステリxヒート


歌野晶午葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)文藝春秋,2003   類似検索


一番最初に読んだ歌野さんの作品の印象から、ガチガチなミステリを書く人だと思っていたのですがこの認識は間違っていたようです。解説とか読むと、歌野さんは色んなことに挑戦されているみたいです。
「何でもやってやろう屋」の主人公が、線路に落下した女の人を助けたり、とある倶楽部の調査を請け負うところから物語は変な方向に走り始めます。商品販売で騙された女の話や主人公の過去に遭遇した事件とそのあっという間の幕切れ、パソコン教室で出会った老人の頼みごとなども本筋の間に挟み込まれており、それらがパズルのピースになっています。
倶楽部の調査のためにあの手この手で潜入するところや潜入中なんかは熱いです。細々と伏線も張られており、トリックに気づきませんでしたよ。また、トリック炸裂後のたくましい会話がよかった。謎の解明のすっきり感ではなく、ミステリ作品でここまでの爽快感をもたらしてくれたのはなかったような。


③ ハサミ男 Amazon② アヒルと鴨とコインロッカー Amazon① 女王様と私 Amazon
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