「終末」「太陽」「冬眠」「天体」がお好み……って、多いなヒールxコミカル


伊坂幸太郎終末のフール集英社,2006   類似検索


三年後に巨大隕石が地球にぶつかる世界を舞台に、同じアパートに住む八人の物語。パニック物ではありませんよ。小説すばる誌上で記載されていたもの。伊坂さんはこのひとつ前の作品『砂漠』が今回の直木賞候補作になってます。
「終末のフール」これまで家族を省みなかった男の話。夫婦間の会話がほほえましかく、なんでだか最後はうるっときちゃいました。「太陽のシール」優柔不断な男の話。男が決断するまでの場面とか素敵です。「篭城のビール」マスコミとある兄弟の話。伊坂さんっぽさを一番感じましたよ〜。
「冬眠のガール」父の書斎にあった本をすべて読む少女の話。どこかぬけてる少女像に萌え。本を読み終えるという目標を達成した後は、恋人を作ろうという目標を掲げるわけでして、それもまたかわいらしい。「鋼鉄のウール」キックボクシングジムに通う男の話。よく見たら帯にも使われていたけど、「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」にまるでキックを食らったかのように痺れました。「天体のヨール」天体オタクと過去の話。最後の透明感では本作の中でダントツの一番。
「演劇のオール」役者と家族の話。最後の大団円をご賞味あれ。「深海のポール」レンタルビデオ屋と親父の話。これまで残してきた伏線の回収とか。最後にふさわしいお話という印象です。
世界観を利用した表現が自分は好きなのかも。今回なら隕石とか終末を交えた言葉遊びみたいなのですね。同じ台詞を繰り返したりすることによって、主人公に序盤とは異なる決断をさせるという構成は一貫しているため、最後まで安心して読むことができます。


③ ぶたぶた Amazon② 4TEEN Amazon① 死神の精度 Amazon
この小説が好きな人にお勧めする③
①伊坂さんの『死神の精度』死神が接することになる六人の物語。→感想
石田衣良さんの『4TEEN』四人の中学生の物語。→感想
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