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新城カズマサマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)早川書房,2005   類似検索


タイムトラベラーものの二巻目であり完結です。タイムトラベラーの少女やSF小説、地域活性貨幣なんかがごちゃ混ぜになってでてきます。描かれているのは、置いてけぼりにされる焦燥感はでしょうか。解釈を優先しちゃったり、頭がなまじいいから苦しむでしょうね。悩む主人公は、一回襲われてもその辺は不変でしたしwごりごり伏線も回収していきます。
ライ麦畑の新解釈は面白かった。私がライ麦読んだのはずいぶんと昔で、あらすじも出てこない状態ですけどね。……って、だめじゃん。中盤以降では、この新解釈などのプロジェクトをしていたチームである作戦を行いますが、その結果が読了後も余韻を残します。考えてみれば、それぞれが何かしらに特化した奇抜な集まりだったのですね〜。「割引現在価値でしかないんだ。」ってのが一番私の印象に残っています。
最後に書かれている未来予想はどのくらい当たるんでしょうか。新城さん曰く、SFとして書いたものが現実になってほしくないそうですが。ともかく、痛快とか爽快という言葉は当てはまりませんが、いい小説でした。舞台となる季節が冬じゃなくてよかったよ。