最終的に問題は全てここに行き着くんでしょうか?SFxヒート


機本伸司僕たちの終末角川春樹事務所,2005   類似検索


『神様のパズル』で宇宙作りにチャレンジする話を書いた機本さんですが、今回は宇宙船を作ろうとする話。のっけから「僕をプログラミングした奴は、どんな奴なんだろうな」とあり、パズルに引き続き根本にある問いかけは同じだなと。序盤以降も続々出てきますが、自分と言う存在を知りたいという悩みがメインテーマとしてあるんでしょうね。
肝心の宇宙船作りは派遣業者が最初に請け負います。専門化が主人公ではないので、難しすぎる単語は使われていません。使われている部分はちんぷんかんぷんですがね。……私も前回から進歩ないですな。人類は絶滅の危機に瀕しており、だめもとで宇宙船作りを始めます。実際に事業を立ち上げてみるものの、製造には問題が山積み。技術的な問題だけではなく、政治的なもの、経済的なものと問題の質も多種多様です。
しかも、作り上げる宇宙船も私の想像とはまったく違うものでした。正確にいうと、宇宙船の中で行われる生活が想像と違う、でしょうか。ネタバレを避けるため具体的な例は挙げませんが、あんなのが宇宙での生活スタイルだとしたらロマンがないよ(笑)「人間とは何か」を突き詰めて考えていった結果らしいのですがー。
オヤジさんがワインを渡すシーンとか、終わり方もSFっぽくきれいにまとまっています。二作しか読んでいませんが、この前の宇宙といい今回の宇宙船といい、機本さんはモノを作るのが好きなんでしょうね。そんな風に思いました。


③ シャングリ・ラ Amazon② 空の中 Amazon① 神様のパズル Amazon
この小説が好きな人にお勧めする③
①機本さんの『神様のパズル』学生が宇宙を作ろうとするお話。→感想
有川浩さんの『空の中』空の上にいた謎の物体とコミュニケーションをとろうとする話。→感想
池上永一さんの『シャングリ・ラ』変わり果ててしまった日本を舞台に一人の少女が活躍する話。→感想