う〜ん、お手軽中二病本みたいな?シリアスxヒール


天童荒太包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)』筑摩書房,2006   類似検索


六年ぶりの書き下ろし。ベストセラーにもなった『永遠の仔』も読んでいないので、天童さんの作品は初めてです。
永遠の仔は分厚いイメージがあったのですが、この本は二百ページもなく持ち運びに適しているくらいです。精神的な痛みを持つ場所、トラウマのある場所に包帯を巻くことで心の傷を癒そうとする少女たちの物語。私の持つ新書のイメージとは違いますが、少年少女向けのようにも感じました。
包帯を巻くことで心が軽くなることについて主人公の少女は、「傷が治ったわけじゃなく、<わたしは、ここで傷を受けたんだ>と自覚することができ、自分以外の人からも、<それは傷だよ>って認めてもらえたことで、ほとするんじゃないかと思った。」と捉えていたのが興味深かった。価値観が複雑化し、アイデンティティゲームが盛んになっている現在では、傷を認めてもらうのも一苦労なんだろうか。
――あるいは、傷こそがアイデンティティになり得るのかも。でも、心の傷をそのまま他の人には見せたくない。具体的な痛みは見せたくないけれど傷を負っていることをアピールするためには、包帯を巻くという行為がちょうどいいのかも知れませんね。


③ 少女には向かない職業② 今夜は眠れない① サマースクールデイズ
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