メイントリックの一つは解けましたが、後はお手上げミステリxラブ


森博嗣今はもうない (講談社文庫)講談社,2001   類似検索


犀川先生の思考にしびれるこのシリーズも八巻目。……シリーズ完結までまだ二巻残ってるよ。うれしいんですがっ! まだ、Vシリーズもまるまるある積んであるし、水柿助教授もあるし、Gシリーズを崩せるのはいつのことになるんでしょうか。うれしいんですがっ! 
そんなことはおいておいて、今回はある屋敷において双子の姉妹が密室状態で殺された事件に焦点が当たります。前回も犀川先生の登場は遅かったですが、今回はさらに登場シーンが少ないです。代わりに主役を張るのは笹木。笹木の思考は犀川先生や萌絵ちゃんに比べると多少おとなしく分かりやすいです。恐ろしく頭がきれ、かつ優れた容姿をもつ萌絵ちゃんも犀川先生視点や、ましてや萌絵ちゃん自身の描写では伝わりづらかったですが、笹木の視点ではお嬢様の雰囲気を持ちつつも行動力があるミステリアスな魅力を改めて感じられます。
密室のトリックについて、笹木を含む屋敷の住人達が一人一人異なった仮説を考えているところは結構楽しかったです。推理の内容だけでなんとなく人間性も見当つく感じなんかがね。そして、真相が明かされるわけですが今までとはちょっと違う後味でしたよ。というか、全編通して異色だったかも。