仕切りなおしの第二弾シリアスxバトル


杉井光火目の巫女〈巻ノ2〉 (電撃文庫)メディアワークス,2006   類似検索


銀賞受賞作のシリーズ二作目。前作から一年が経ったところから始まっています。前回は途中で一変するので鬱度が高かったですが、今回は分かっているので前よりは耐えられます。主人公である伊月たちの代に限っていえば、(精神的に乗り越えたどうかは別にして)悲惨な出来事は既に終えたことですしね。もっとも、これから悲劇と決められた運命をたどるのは、主人公ではなくその妹のような存在なのでさらに極悪といえばそうなのですが。「不思議ですね。みな死にたがる。わたくしも。伊月さんも。……帝も」なんて言葉がでるのも、どうしようもない状況を考えると仕方のないことのように思えます。自分が痛めつけられるよりも、周りが痛めつけられているのを見なきゃいけないほうが苦しいわけで。
帝>帝に仕える人間>巫女たちという構造を見ていると、佳乃は伊月に助けられ、伊月は火護衆の親父たちに引っ張られ、火護衆は帝に指示を仰ぎ……ときて、さて帝は誰に助けを求めればいいんだということになり、なんだかかわいそうです。まあ、伊月たち相手にいちゃついてるからいいか。
251ページに伊月が弓を引くカットが載っているのですが、シンプルながらもかっこよくて好きです。巫女さんに弓ってやっぱいいですね。最後の引きからすると次回は過去の話になるのかな?