クロスゲームとの関連はなしミステリxダーク


中野順一クロス・ゲーム文藝春秋,2004   類似検索


中野さんの作品は初読み。中野さんはサントリーミステリー大賞出身のかたのようです。本作品は現実世界の事件をオンラインゲームの世界をクロスさせて描かれています。
また、人物もクロスしています。主人公は二人いて、オンラインゲームにはまっている彼女と遠距離恋愛をしている航太。もうひとりは、ヤミ金を営む男と付き合っている沙也加。航太のほうは、謎の男に襲われたり家が火事にあったり彼女が失踪したり……と、奇妙な出来事が次々に起こります。沙也加のほうは彼氏の職業上、サラ金ヤミ金の話などが出てきてのっけからきな臭さがプンプンしており、案の定(?)事件に巻き込まれていきます。
ネットやサラ金などわりとホットな話題の組み合わせ。書かれてから二年が経過していますが、今もなお廃れていないどころかますます注目が集まっているような。先見の目があったんでしょうね〜。とにもかくにも、航太とその彼女が出会うきっかけとなったオンラインゲーム「ソロモン2」が事件の鍵を握っています。二人の人物、二つの事件、二つの世界。これらがつなぎ合わされ真相が解明されるクライマックスにはやられました。
ネットを扱っているからでしょうか、人物造詣には空虚な感じを受けます。ネットをやっている航太たちよりも、沙也加たちのほうが人間味あるのもいやらしいところ。ヤミ金などをやっている男たちを清涼剤のごとく感じてしまうのはなぜなんだ〜^^


③ 青猫の街② 電波的な彼女① 犬はどこだ
この小説が好きな人にお勧めする③     
米澤穂信さんの『犬はどこだ』ネット絡み、二つの事件……と終盤は特に雰囲気が似ています。→感想
片山憲太郎さんの『電波的な彼女』シリーズ。ネット絡みではありませんが、退廃的な世界観が近いような。→感想
涼元悠一さんの『青猫の街』序盤の雰囲気が似てると思う。→感想