続きが気になりますミステリxホラー


ジェレミードロンフィールド『サルバドールの復活〈上〉 (創元推理文庫)東京創元社,2005


最初は「」がなく台詞はこのようにする表現方法のためなのか、うまく物語を把握できません。しかし、それも本当に数ページだけ。ベス、オードリー、レイチェルの三人が登場するところから物語に吸い込まれるような気分になりました。
上の三人娘が、学生時代の共通の友人・リディアの葬式に参加するのが起点です。卒業後は連絡を取っておらず、久しぶりに再開したことで三人は戸惑い、懐古、おびえなど様々な気持ちが湧き上がってきますが、とりあえずパブでお酒を飲むことになります。で、レイチェルを待ちつつベスとオードリーの二人が飲んでいるところへ、リディアの夫で天才的ギター奏者・サルバドール(タイトルにもあるように既に亡くなっています)そのサルバドールの母親・ジュヌヴィエーヴが自宅へと二人を招待します。……ここからが本当の物語の始まりといってもよいかな。その自宅がおどろおどろしそうな城のような場所なのです。
現在の話に平行してサルバドールとリディアの馴れ合い話など、学生時代のエピソードが挟み込まれています。他にもベスの夫であり作家であるイアンのスランプ話があったりも。
読み進めるうちに、グズな感じがしていたレイチェルに好感を抱いたり、冷酷さしか感じなかったオードリーに優しさを見出したり……旧友との交友を温かな気持ちで見守れます。
しかし、その背後でジュヌヴィエーヴとその家僕・フェヴリエの暗躍を予感させる描写もあります。ジュヌヴィエーヴが不気味にも「サルバドールを復活させた」と話たり、幽霊騒ぎがあったりリディアの死に納得いかなかったり。多くの隠し事があるように思います。そもそもサルバドール、リディアもその死について謎な部分が大半です。
と、ここまで書いて読み返してみても、何がなんだかいまいちはっきりしません。もちろん私の文章が拙い、うまく文章化できないのもありますが、この本自体がごちゃごちゃした楽しさを持っているように思います。下巻を読まないことには結末が分かりませんが、少なくともこのごった煮感が下巻への期待を高めてくれます。>と、言い訳してみるテスト
材料がバラバラに提示されているだけの状態なので、下巻でどのように物語が収束するのかすごく気になります〜。


③ フランケンシュタイン② 『アリス・ミラー城』殺人事件① アメリカミステリ傑作選 2003
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