バランスがいいと思いますミステリxシリアス


樋口有介風少女 (文春文庫)文藝春秋,1993 Amazon


けっこう前の作品です。久しぶりに故郷にやってきた主人公が少女の死に不審を抱き調査を開始する話。
以前に読んだ作品『夏の口紅』でもそうでしたが冷静で屁理な主人公に助手役の妹キャラが配置されています。過去をほじくり返す作業も一緒です。
推理小説でいかにも怪しげな人物がでてきてもそれが犯人ではないというのが鉄則ですが、これを読んでいる最中はそれがどうでもいいような気がしてきました。この本にも怪しすぎる男がでてくるのですが、そいつが犯人でもいいやという気持ちになってしまったのです。変な感じじゃ。
変な感じといえば主人公の感覚もどっちつかずな感じで共感できました。この物語において、主人公が学生時代との境界をはっきりさせる作業をしていたように思います。
段落の最後が台詞で終わることが多いのですが、それらが微妙に心に残りました。消えちゃうんだけど、読み終えた瞬間は。


③ 放課後② 繭の夏① 夏の口紅
この小説が好きな人にお勧めする③
①樋口さんの『夏の口紅』妹キャラはお好きですか?→感想
佐々木俊介さんの『繭の夏』姉キャラはお好きですか?→感想
東野圭吾さんの『放課後』風少女に雰囲気似ていますが、こちらは後味も悪いです。→感想