薬丸岳天使のナイフ講談社,2005


第51回江戸川乱歩賞受賞作。妻を殺した犯人が他殺死体として発見され……とあらすじを読んだだけで気が重くなる内容。少年法が大きなテーマになってきます。最近ではわりと使われているテーマだと思うのですが、私は今まで読んだことなかったと思うので新鮮でした。
ことの起こりにでてくる少年法関連のやりとりは、実際の事件で新聞に載っている内容から想像していたものより重かったです。けっこう責任から逃げるのって簡単な印象をもちました。序盤はテンポがゆるいですし遊びもないのでひたすら気を重くさせてくれますが、事件がひっくりかえる辺りからの引き込み方はすごい。いやまあ気分が明るくなるわけではありませんけどね。
スリードはあまりなく犯人はさほど驚きませんでしたが、最後の話は素直に驚いた。これが話を引き締めています。喜んで白旗だせますよ。ミスリードの少なさに反して伏線の使い方はプロだなと思います。
のんびり過ごす私でさえも、更生の意味ってなんだろうと考えられずにはいられませんでした。答えは出ませんでしたけど。でも、読んでよかった。
少年犯罪もそうですが、凶悪犯罪って増えてるんですかね。確か件数は増えてないけど、夜と決まった時間帯ではなく白昼にも起きるようになったから増えた印象になっている、とかどっかでみた気がしますが。関連した情報を扱っているサイトさんはあったのでリンクはっときます。なんにせよ、難しい問題ですよね。


③ 秘密② フラグメント① 未熟の獣
この小説が好きな人にお勧めする③
黒崎緑さんの『未熟の獣』全編にわたってけっこう暗い話です。→感想
古処誠二さんの『フラグメント (新潮文庫)』原題は「少年たちの密室」です。
東野圭吾さんの『秘密 (文春文庫)』こちらは遊びもあります。