三崎亜記バスジャック集英社,2005


七つの短編が入っています。数ページのものから八十近くあるものまで様々。
三崎さんは小説すばる新人賞を『となり町戦争』で受賞された方です。『となり町』と似ている作品としては、最初の「二階扉をつけてください」で回覧板を扱ったものがあったり、表題作「バスジャック」でバスジャックが制度化されている変わった世界を描かれています。どちらも珍妙な慣習が当たり前されている部分が面白いです。私としては「二階扉」は結末部分、「バスジャック」は始まり方が特にお気に入り。
なんとなく変だなと思わせる作品としては「二人の記憶」もあります。恋人の記憶と微妙な齟齬がでてくる話で、好きなテーマなのでいい感じ。「しあわせな光」もテーマ先行的な話かも。どことなくノスタルジックでショートショートないい作品。「雨降る夜に」の雨の中本を借りにくる女性というシュチュエーションも似た雰囲気を持ってる。
図書館と並んで「動物園」もでてきます。偽者と本物のお話かと思いましたが、ちょっと違いました。いけてます。
一番長いのは最後にある「送りの夏」ですね。主人公の麻美ちゃんの視点がかなりマッチしています。この少女の語り口が堪らんのです。偉い人にはそれが


この小説が好きな人にお勧めする③


③ 人質カノン② セカンド・ショット① となり町戦争
①三崎さんの『となり町戦争』お役所仕事的な戦争がここにあります。→感想
川島誠さんの『セカンド・ショット (角川文庫)』短編の中でも表題作がとくに好み。
宮部みゆきさんの『人質カノン (文春文庫)』ちなみにカノンってゲームじゃないです(殴