伊坂幸太郎魔王講談社,2005


「魔王」と「呼吸」の中編二つが入ってます。続き物です。
いままでの伊坂さんらしくなく、ミステリ部分はほとんどないです。ちょっとびっくりしました。しかし、会話のセンスは変わることなく私のツボを刺激してくれます。「せせらぎ」とかなんて、物語の大筋とまったく関係ないやりとりなんだけど印象に残ってます。政治家は悪知恵が働く例として「ケイコ」の出来事が挙げられていましたが、この話はどこかで聞いたような気もします。実際の出来事でしたっけ? 猛禽類の定点調査もなかなかいい味出しています。鳶だけかよと思わず突っ込みそうになりましたし^^
そんなわけでファシズムと、ある兄弟の物語。最後まで描ききられるラノベ読みとしては、この話の後日談が気になります。なんだか、あまりにもきれいに終わりすぎていて、現実の世界に戻ってくる余裕がないですから。特に魔王の締めくくりかたはぴしゃりとしているのですよ。


この小説が好きな人にお勧めする3
3 グランド・フィナーレ2 ALONE TOGETHER1 グラスホッパー
1、伊坂さんの『グラスホッパー』奇妙な殺し屋たちの物語。→感想
2、本多孝好さんの『ALONE TOGETHER』奇妙な能力を持った男の話。→感想
3、阿部和重さんの『グランド・フィナーレロリコンの男の話。→感想