田代裕彦平井骸惚此中ニ有リ〈其2〉 (富士見ミステリー文庫)富士見書房,2004


大正を舞台にした推理小説で。第3回富士見ヤングミステリー大賞受賞作品の続編にあたるとか。独特の文調が人を虜にするのでありまして。内容は「別荘にて次々出てくる死体の数々。その謎を解きますは探偵作家の平井先生でありまして」
今度の事件の場所は孤立した洋館。相も変わらず事件自体は陰惨なものでありして。
「君らの行動が事件を起こしたなんてことにならないように」「探偵の言うことは《真実》だが、《事実》だとは限らないんだ」という言葉からも、探偵役の惚先生はかなり慎重な人のようで。それが物語に深みを与えるのであります。
まあ、その先生も澄夫人には頭が上がらないようで。ほほえましい光景でございます。
なににしても、大正時代の乙女には萌えるばかり。男女交際とはかくありたいもので。


この小説が好きな人にお勧めする③
③ パンク侍、斬られて候② 街の灯① キリサキ
①SF要素をふんだんに駆使したミステリ作品。田代さんの『キリサキ』表紙で引いてしまう人はもったいない。→感想
②昭和を舞台にしたミステリ作品。北村薫さんの『街の灯』こっちは昭和の背景をじっくり味わえます。別荘の話もあります。→感想
③文章の調子が似ています。町田康さんの『パンク侍、斬られて候』これも時代物ですな^^→感想