島本理生ナラタージュ角川書店,2005


「ナラタージュ」とは何かの用語で、過去のシーンを回想などで表現する手法のことらしいです。
丁寧で透明な表現で描かれており世界に入りやすい恋愛小説です。大学生の主人公・泉と高校時代の先生がメインですが、私は小野君の方に感情移入してました。メインの2人はなんていうかリアルなわりに嫌味な部分が見えてこなくて。その点、小野君は私でもオイオイと止めたくなる行動も取りますが、でもその分愛着がわくんですよね。その行動を取ってしまう理由が分かるから。自分に似てるのかな? 不思議です。
結構長いアングルで書かれていて、演劇活動に始まりドイツや長野への旅行や手紙などイベントが盛り込まれています。私はとくに演劇を一緒に成功させようとするところが好きです。とても面白かったですよ。


この小説が好きな人にお勧めする③
③ 夏の口紅② 揺れる夏 追憶の橋① Fine days
①恋愛にまつわる4つの短編。本多孝好さんの『Fine days』切れ味鋭い導入部分にもご注目〜。 →感想
②1年に1回、橋で会う約束をした7人の話。鎌田敏夫さんの『揺れる夏 追憶の橋』年々変化していく関係などもご注目〜。
③ミステリ的な展開もあります。樋口有介さんの『夏の口紅』妹の活躍にもご注目〜。 →感想