長谷川敏司『天になき星々の群れ―フリーダの世界 (角川文庫―角川スニーカー文庫)角川書店,2002 Amazon


長谷川さんの二冊目。シリーズ物ではないものの前作と舞台は同じです。まあ、千年以上の時間差があるのでまったく違いますが。前より漢字が多めな感じもしますし。
二人の主人公であるフリーダとアリスの視点が交差されるように展開されていきます。殺しばかりをしてきて、普通な暮らしを送るアリスにあこがれるフリーダの葛藤がメインかと思いきや、アリスも結構悩む悩む。
てか、なんだろう。印象的な一場面があるわけではなくて、全体を通して様々に語られるテーマがすごくいい。
戦闘の能力があるフリーダも無敵ってわけじゃないし、むしろこういう小説の中では弱さも結構出てる。アリスも理想を追い求めるけど、どこまでも潔癖じゃない。敵役も冷静沈着な策略家ってわけじゃない。バランスがとれてると思うんですよ。しかもかなり高いレベルで。
もちろん、SF的な要素も詰め込まれています。その辺も、相変わらずすばらしいです。


この小説が好みだった人へ、私がお勧めする三冊の本。
② 猫の地球儀 焔の章① 戦略拠点32098 楽園
①同じ世界を舞台にしたお話。長谷川さんの『戦略拠点32098 楽園 (角川スニーカー文庫)』余韻の残る綺麗なSF小説です。
②猫の世界を描いた作品。秋山瑞人さんの『猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)』上下二巻構成です。
③ヴァーチャルゲームの世界。高畑京一郎さんの『クリス・クロス―混沌の魔王 (電撃文庫 (0152))』いろいろと似通った雰囲気を持ってると思います。 Amazon