江國香織ホリー・ガーデン (新潮文庫)』 新潮社,1998 Amazon


果歩と静江の二人がメインとなる恋愛小説。三人称ですが、ときどき主語が変わるので私には入り込むのに時間がかかりました。まあ、分かりやすいラノベを多く読んでたからでしょうか。慣れると問題なくいきましたけどね。一ページたりとも気は抜けませんでしたが。
「恋愛感情が友情に純化された」「慣れない電車は広告の類もよそよそしく」などの言葉はいいなと思います。かっこよすぎる表現に聞こえるかもしれませんが、少なくとも私の心にはすんなり入ってきました。
それにしても、静江の思想や言動がいまいち好きになれませんでした。客観的に眺めてみたら、静江よりむしろ果歩の方が奇妙な人物と言う印象になるかもしれませんが……なぜかいやらしく感じるんですよね。いやもちろん、「裸で町を歩けっていわれたら喜んでやってみせる」とか思ってるからいやらしいのではなく、鼻につく感じなのです。お姫様ごっこの章のように、果歩と静江の友情も過去の部分はきれいに見えるんですけどね。いやもちろん、子供が好きロリというわけでは時の流れは残酷です。
一番共感できたところは、「トマトに塩をかけて食べているということが、何やらひどい裏切り行為ででもあるような気がした」です。ぐっときました。