加納朋子掌の中の小鳥 (創元推理文庫)東京創元社,2001 Amazon


裏に書いてあったあらすじが気になったので買ってみたのですが、当たりでした。
ミステリの中の日常の謎になります。鮮やかな色合いから始まり主人公の学生時代の苦い思い出と、ヒロインと祖母の触れ合いを二部構成で描いた「掌の中の小鳥」ヒロインの過去をめぐる「桜月夜」奇妙な傘泥棒、自転車泥棒に出くわす、そのものずばりのタイトル「自転車泥棒」子供時代の遊びを交えながら、一瞬の消失マジックの謎を解き明かす「できない相談」指輪を盗んだ動機とは?「エッグ・スタンド」この五編の短編連作で、全体を通して女の心の機微がキーワードになります。
どの話も、読みながら自分なりの推理を展開するより、その分登場人物の気持ちを考えながら読むのがいいかもしれません。事前に知識がないと解けない謎も多々ありますし。驚きより、温かさを感じたいかも。
一番好きな話はすっきりした自転車泥棒の話です。泥棒たちの犯行動機に、にやにや。それにしても、女の人の心はまったく分かりませんな〜。いや、理解できないわけじゃないけど、やっぱり男とは違いますね。
最後の解説もなかなか面白く読めましたよ。これのおかげで、さらに印象深くなった話もあります。