伊坂幸太郎死神の精度文芸春秋,2005 Amazon


6個のお話が入っています。一番最初の死神の精度は第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞しています。自殺や病気や寿命ではなく、突発的な死を司る死神が主人公です。選ばれた人間を、殺すか殺さないか調査するのが主人公の仕事。そのため、その人物に一週間前から接触し、判断を下します。そんな一週間を描いています。
最初は、会社の苦情係をしている暗めのお姉さんとクレーマーの話「死神の精度」任侠の世界に踏み込む「死神と藤田」吹雪によって閉ざされた山荘での殺人事件、その探偵役は死神と推理小説をぱろった一編「吹雪に死神」死神がよく理解していない恋愛感情というものに遭遇する「恋愛で死神」死神が運転役を務めてドライブをする「旅路を死神」死神に謎の依頼をする老女の話「死神対老女」 こんな概要です。
口数の多い、常識はずれで、でも憎めない陽気なキャラクターは今までの伊坂さんの作品でも出ていましたが、冷めている死神がずれていて面白いです。冷めていて主観がない分、話ごとに変わる調査対象者が素で届くのも魅力的です。人間ではなく死神の感性なので歯がゆく感じるところも多々あり、逆にそれで段々と引き込まれてしまうのは仕方ないかも。
同乗者との会話で淡々と進んでいく旅の話が、少し変化球気味で印象深かったです。「Narcissu」(ステージ☆なな)を思い出していたのもあるかもしれません。私にとって、2人で車を運転し目的地を目指す話が好みなのも理由のひとつでしょうけども。
最後の老女が出てくる話は、きれいにまとまっていて好きです。ほかの話ともほんのちょっぴりリンクしてきますからねー。
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 らっこのキャラクター小説置場/物置/お題/叫ぶ5のお題 3 あんたは私のもの
 特にオチがあるわけではないです。すいませんm(。 。)m