海原零銀盤カレイドスコープ〈vol.1〉ショート・プログラム:Road to dream (集英社スーパーダッシュ文庫)集英社,2003


そんなわけで、アニメ化も決定しているフィギュアを題材にしたこの作品。フィギュア知らなくても楽しめます。スーパーダッシュ文庫新人小説賞大賞受賞作は伊達じゃないです。
中のカラーイラストはウエイトレスの格好をした主人公・タズサが載っているんですが、まさか本編に絡んでくるとは思いもよりませんでした。ただ萌え萌えしてただけ(殴)
出だしは、実力派の美少女スケーターがちょっとしたスランプに陥っている最中、幽霊に取り付かれてしまう、というコメディから入ります。「男の子の」幽霊がついてしまったことで起こるドタバタが前半の見もの。
倒錯したエロ要素を感じてしまったのは、私がだめな人間だからでしょうか? ……羞恥小説と勘違いして、他人の視線を感じながらも目隠ししつつ制服を脱ぎ始める女子高生にハァハァしちゃだめだわなm(。 。)m
後半のスケートシーンは素直に感心してしまうことしかできません。専門用語だけに頼ることなく描いているから面白いのかな。フィギュアスケートという新鮮さだけでは、最後まで楽しく読み終えることはできないですし。
テンポよい展開とあいまって、終盤はわくわくしながらページをめくることができました。タズサの毒舌も、しまいにはかっこいいと思えてくる始末です。
一番気に入った部分は、『氷の白い結晶が付着している。実に生々しい……、傷跡だ。』です。
それにしても、タズサとピート君の恋(?)を応援したいけれども、幽霊だからねえ。報われない気がしてなりません。続刊は早めに読むつもりです。→次巻感想