伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア)東京創元社,2003


神様を閉じ込めてしまえば悪いことしても許してくれる……この言葉がキーワードになるのかな。第25回吉川英治文学新人賞受賞や本屋大賞3位、このミス2位とかいろいろ獲ってる作品です。
読み始めてすぐ、伊坂さんの作風(キャラ)には外人が合うなあと思いました。ブータン人が出てくるのですが、こいつがなかなかいい奴です。そして、曲者です。
キャラと言えば、この本にもいつものように、陽気過ぎてネジが1本はずれているような男がでます。でも、途中で意外にもちょっと弱気なところが出てくるのが気になりました。変化球を投げられた感じです。
でだしの辞典を盗むために本屋に押し入るという設定からして魅力的です。これが現在の話。そしてもう1つの話、2年前の出来事と交互に出てくる構成です。
伊坂さんの作風が浮遊感が漂う感じだというのを見かけるんですが、この本を読んでよく分かりました。本屋への強盗、ペット連れ去り、病気などなど……謎がぎっしりで、途中ではどれだけの数の謎があったか忘れてしまうほどでした。まさしく、何がなんだか分からなくなる浮遊感!?
終盤で大きな1つの謎が明かされ、そこで物語は加速し、そのまま最後まで走り抜けます。とても満足できた一冊です。
蛇足で、1つだけ気がかりが。この本は図書館で借りてきたのですが、しおりを挟んだまま返却しちゃいました。しかも、5個くらい。失敗です。それだけ。
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次が最後です。それにしても、今から読み返すと穴ばかり。推敲の大切さを知るよい体験ですなー(涙)