米澤穂信犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)東京創元社,2005


というわけで(?)犬探しを専門に働きたい男の話。行方不明になった犬を捜索する専門の人です。開業したばかりです。
この犬探し専門(希望)の探偵・紺屋と紺屋の部下となって働く調査員・はんぺーの二人の視点で物語は進んでいきます。もちこまれた二つの依頼(どちらも犬探しではない)をこの二人が別々に調査をしていく形です。そして、はんぺーの描写が読んでいて楽しいです。最初の方なら「地下鉄」とか「役不足」のところが私にはつぼでしたね。ばかっぽいというかお気楽というか(^^)後、二人のやりとり「そっちかよ」にもくすっと来ちゃうのは、米澤さんの小説の中毒にでもなってしまったのでしょうか?
愚者のエンドロール
米澤さんと言えば、チャット形式を古典部シリーズで使っていましたが、今回も出てきます。主人公のチャット相手も、得体が知れないと言う点では似通ってます。
それに関連してネットネタも出てきますが、私に分かる程度のことだったのでほっとしました。まとめサイトみたいな感じで考察をやってるところの描写は、雰囲気が出ていていいと思います。どこかで本当に見ることが出来ちゃいそう。米澤さん自身もホームページを持ってますが、けっこう詳しいでしょうか。
米澤さんの小説は必ずと言っていいほど、どこかで人間の黒い部分を見せてきますが(しかも主人公を引き込む)やっぱり今回もあります。主人公達が大人になってもこの辺は変わらないので、うれしいのやら悲しいやら? さらには、子供じゃみれない暗さも味わえるので、何といってよいやら。
そういえば、これは一応日常の謎のカテゴリに入るのかな。って、疑問系ばかりや……。
途中で「悪魔の証明」という単語が出てきますが、三日前に読んだ小説でもあったのでなんとなく縁を感じました。