米澤穂信クドリャフカの順番―「十文字」事件角川書店,2005


やっぱ面白いですね。イラストなしでも高評価が出るわけだ^^古典部シリーズ三作目ですが、初めてホータローの一人称だけではなく古典部の他の三人の視点で描かれます。
文化祭で売るために印刷した文集が多すぎた。だから、事件を解決して知名度を上げてよう(そして、文集を売り切ろう)……筋書きだけでも興味惹かれます、気になります! 文化祭ではクイズ研やらお料理研やらが開催する大会で古典部が活躍します。古典部部長であるえるの料理の腕前もすごいですが、文化祭なんてすばらしい食材を生かしきる米澤さんの腕も一流です。
氷菓愚者のエンドロール
同シリーズで言うと、謎の質は『愚者のエンドロール (角川文庫)』で方向性は『氷菓 (角川文庫)』です。筋は通っていますし、前作同様に謎の質は高いです。パズル的なものと言う違いはありますけどね。
私としては、トリック以上に気になるのが青春物の側面です。先ほども書いたように、さまざまな視点で描かれるので三人の内面に新たな発見もありますし、それ以外の人にも違ったスポットがあたります。ホータローのフィルターを通して、ではなくなるからです。ホータローに対してと、えるに対してでは、あの女帝・入須でさえ対応が異なりますから(当たり前か)
私の中にあったキャラ像を壊さない程度の、もっと知りたいと心をくすぐられる程度の見せ方。微妙なさじ加減がすばらしいです。