優しい秘密


村山由佳おいしいコーヒーのいれ方 (8) 優しい秘密 (JUMP j BOOKS)集英社,2004 (画像はアマゾンへ)


おいコーシリーズ第8弾。このシリーズが長く続く理由は主人公達の想いが一途でぶれないためでしょうか? なんかそんな気がします。重苦しかったり、人間関係が複雑だったりしたら長いシリーズにはならないでしょうね。とくに時間的な長さには耐えられないかも(シリーズ開始から十数年)甘いのが好きな私だからかもしれません。
で、今回の始まりは、知り合いに囲まれた閉じられていた世界(?)から出てみないかとバイト先のマスターに主人公・勝利が言われるところから。そこから綱渡りのような危険な状況が続いていきます。それを切り抜けるために段々と嘘をついての秘密が多くなっていきます。大変だなあ。
シリーズ通していえることですが、決して軽いとはいえない話を深く書き過ぎないように、心理描写は洗練された短い言葉で表されていて、エピソードを重ねることによって話を進めているのかな。だから想像の余地がたくさん残っている。有名な監督の言葉に、見ている(この場合読んでいる)主体である私たちが、登場人物たちの考えを考えているのだ、といような言葉があったかと。だから、共感を得やすいのだろうかとか考えてみたりみなかったり……こんなこと書いてると読んだばかりの『お伽草紙 (新潮文庫)の一遍、「浦島さん」に出てきた亀さんに怒られそうです。確信して迷わずに何かを行うのも、迷いながら試しに何かやってみるのも結果は同じなんだ、と。(7/20
話がそれましたが、なんにせよ勝利やらかれんを見ているとずいぶん私は汚れてしまったなと気づかされちゃいます(^^)ピュアなハートってなんですかー。
今回ぐっときた言葉は、クライマックスでのかれんが勝利に向かっての台詞。
『あの……。私も……あの、あ……。あ……』
上の台詞読んでるとき、周りに自分の顔を不審がられてないかかなり心配しましたよ。この破壊度は神級です。