サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

ヒロインの玖渚は天才的な記憶力の持ち主です。かつお金持ちで権力もほどほどにあり、エンジニアとして抜群の才能を持っています。とはいっても、彼女のようになりたいとは思いませんが。
 あいもかわらずの西尾さんの世界です。いわゆる一般人はいません。なんとなく、寂しいです。この世界観、キャラクターがいいんでしょうけど。やっぱりくせが強い。しかし、読者をあきさせない。
 私はこの戯言シリーズ電撃文庫の『悪魔のミカタ』シリーズが近いものに感じます。
悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)

悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)

 どちらも推理物としての意義が強かったのに、途中から路線変更したようです。戯言シリーズは二巻までと三巻以降で内容が変わってきていると思います。悪魔のミカタは五巻前後かな。
 両作品ともイラストの影響力が強く、そして、それ以上の文に力強さがあり。西尾さんの切り口は遠まわし・回りくどさ、うえおさんは実直・ストレートなのかな。
 過程を右曲左折しながら描写するのは一緒ですが、「戯言」は結論が決まっている上で、「机上の論理(戯言)を駆使し」描かれるのに対し、「悪魔のミカタ」は結末は定まっておらず、「実体験を通して」登場人物たちの葛藤が書かれることでしょうか。
 穴がありすぎて戯言にもなれない、ただの独り言ですけどね。せっかくのクリスマスなのに、戯言の世界なみに孤独です♪