太陽のあくび

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癒し7シリアス3
有間カオル『太陽のあくび (メディアワークス文庫)アスキー・メディアワークス,2009
有間カオルさんの作品感想


苦労の末に育てたみかんを売り込もうと意気込む、村の少年団の活躍を描いた作品。起死回生の商品であるレモミカンで、テレビ出演するドタバタ劇から始まります。
少年団の動きだけでなく、テレビショッピングのバイヤーの仕事も垣間見えて面白かったです。悔しい思いをしている照美を応援したくなります。


序盤の都会の描写なのですが、いくら陽介の視点だからと言ってちょっとあざとすぎる。対比したかったのだと思うし、実際陽介の心に余裕が出来てた最後では都会の描き方が違うけれども、描き方がズレているような。
また、祖父や父ではなく陽介の苦労が見えてこないので、自嘲屋のイメージが強くなってしまいました。もっと頑張れと口を出したくなるのです。照美の足を引っ張ったというのもいただけない。せっかくの主人公なのにー。
ただ、わいわいがやがや作戦を立てる少年部の会議は楽しいですね。そして、照美と同じくバイヤーである小塚がいい男過ぎる。
設定がもろ好みだったので期待度が高すぎたのが原因かも。重たい雰囲気をまとっていたから、クライマックスに向けての展開は一息つけました。生放送で考える暇もなく、はったりと行動あるのみの空気が快適なのでした。


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