薔薇とダイナマイト
若木未生『グラスハート〈2〉薔薇とダイナマイト (コバルト文庫)』集英社,1944
シリーズ感想
若木未生さんの作品感想
切れ味も脆さもある麻薬のようなバンドにどっぷりはまった朱音の物語。音楽の虜である人たちの日常が描かれているシリーズ2巻目です。
「ケガの巧妙ソング」によってリーダーの藤谷さんの悪魔具合がよく分かります。その魅力と言動で周囲を振り回す悪魔ですな。そんな藤谷さんと言葉を交わさなくても分かり合える高岡もかっこいい。
ライバルバンド的なオーヴァークロームの真崎が結構絡んできます。ファンというか教徒である女性も登場するのですが、音楽を享受する立場での魅力が描かれて、またファン心理にも触れられていて面白いです。
レコーディングでは藤谷の過去にもちらりと触れる場面。高岡がいれば安心はできるんですけどね〜。
そんな不安定な藤谷さんですが、音楽にトチ狂っているように見せて、不意に覚悟を伴った本音を囁いてくるから侮れないです。なに告白してんですかい! まあ暴走してても1人目立っていても、藤谷さんなら許せますが。