狼と香辛料 13

狼と香辛料 13  Amazon
萌え4燃える4癒し2
支倉凍砂狼と香辛料 13 Side colors 3 (電撃文庫 は 8-13)アスキー・メディアワークス,2009
シリーズ感想
支倉凍砂さんの作品感想
食にご執着のホロとそれをどうにか避けようと考えるロレンスのやりとりを描いたシリーズ13巻目で3個目の短編集です。宿を見つけることが出来なかったことから始まる「狼と桃のはちみつ漬け」が絶品でした。
遠まわしに本音を漏らすホロの気持ちに気づけないロレンスの構図は毎度のことですが、問題解決に向けて伏線を細かいところまで全て回収していたところが好感持てます。この手の短編の鏡だと思うほど鮮やか。
これもあれも伏線だったのかと驚きましたし、万事が解決する素敵な結末でした。もちろんバカップルぶりも詰め込まれており、ごちそう様です。


値段とホロのご機嫌のどちらを取るかは常に迷う問題です。「狼と夕暮れ色の贈り物」様々な験担ぎのコインを絡めた、洒落のある会話が心地よいです。特にこの話は、2人の会話だけで綺麗に完結してますからね。
とある拾い物をして気分が上々なホロの視点で描かれる「狼と銀色のため息」為替の盲点をついて儲け話に勤しむロレンスが、最後にミスをとがめられるシーンが見もの。このときのホロの心持は結構意外でした。


最後は羊飼いのノーラの物語が、彼女を支える犬のエネクの目で語られます。「羊飼いと黒い騎士」ノーラが服の仕立て職人となるべく、疫病が流行り壊滅状態の町へ向かうことから運命は動き始めます。
町の現状を知り自分の考えの浅はかさを呪うのですが、それくらい貪欲でもいいと思うんだけどね。あるいはこれは商人の思考に染まりすぎているのかしらん。なんにせよ、ノーラには頑張って生き抜いて欲しいな〜。