ねこシス

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コミカル7癒し3
伏見つかさねこシス (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2009
伏見つかささんの作品感想


どこか冷めたところのあるお姉ちゃんの千夜子に明るいムードメーカーの鈴、そして人間に化けたばかりの美緒。そんな猫又姉妹の物語です。
夢が叶った美緒は、姉妹を見守る母親的な長女・かぐらからの助言もあり、猫丸出し本性むき出しのまま人間世界にぶつかっていきます。


最初はとにかく美緒が人間の世界に、というよりか人間の体に慣れようと奮闘する姿や猫と人間の常識のズレが描かれており、微笑ましくまた突っ込みたくなるシーンが満載。
またキャラ的には、次女である千夜子が非常においしいですね。この娘の言動はどうもあの黒猫さんを連想してしまいます。学校の屋上場面では、言葉とは裏腹に楽しそうにお仕置きする姿も描かれているわけで。
人間の特殊な文化に傾倒する姿も笑えます。特に仮面と共に登場するシーンはかっこよかったな。長口上がすごく魅力的でした。リアルタイムで見れなかったただの恨み言なのに、熱が感じられます。


憧れだけの存在であった人間について、美緒は様々なことを学んでいきます。猫を膝の上に乗せる程度の温かさを得られるお話でした。
しかし、美緒の描写に引っかかってしまうこともありました。コメディパートなら気になりませんが、物分りがよい場面の後に素朴で真っ直ぐな猫らしい場面が出てきてもなんかなー。
かわいいことはかわいらしいんだけれども、思ったとおりに動いてくれなくてやきもきしちゃいます。……猫だから当たり前か。


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