銀月のソルトレージュ ２

枯野瑛『銀月のソルトレージュ〈2〉金狼の住処 (富士見ファンタジア文庫)』富士見書房,2007
シリーズ感想
枯野瑛さんの作品感想
のんびり生活していたリュカが、再び＜ひとつめの嘘＞を巡る波に巻き込まれるシリーズ２巻目。手練手管を駆使する伯父アルベールも登場します。
ジネットの体の異変と原因をリュカへ告げるアルト老。修羅場はいくつも潜り抜けてきたのでしょうが、伝えずにはいられなかった心中を思うと複雑。それにしても、アルト老がパンチを繰り出しているイラストはぷりてぃですね。

酒に酔うと大胆さもあるアリスと必要な言葉を吐けるリュカはお似合いのカップルだと思います。必要最小限の言葉で助けてくれるほど信頼されているのだから、リュカはそれに応える義務があると思うのですが。
しかしそんなアリスという女性がいながら、魔法使いという立場に逃げこむジネットに踏み込んでいくリュカ。ジネットが学院の制服を着ているギャップにドキドキするなど、危険な雰囲気でもニヤニヤさせてくれます。
でも、私の心を刺激したのは書庫で出会う不思議な女性・ライアです。私に関わってはダメと、明るく軽い口調であるいは冷たく重い言葉でリュカに告げます。……なんだかこの女性がメインヒロインな気もしてきましたよ？

前巻で綺麗にまとまったなという感じがあったのですが、リュカの過去に踏み込むなど、面白さが格段に増して来てますね。確固たるものがなく、未知の部分がありつつも理論づけして利用する魔法の存在も気になるところ。
前巻は魔法の成り立ちなどのファンタジーな雰囲気に酔っていましたが、今回はそれを利用した展開に楽しくさせられました。物語の世界観やストーリーへ、いい具合にはったりが利いていて面白いです。