星図詠のリーナ

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ファンタジー6癒し2燃える2
川口士星図詠のリーナ (一迅社文庫)一迅社,2009
川口士さんの作品感想


旅人や商人の話に耳を傾けつつ、たった一つの自分だけの地図を作り上げていく過程に才能が感じられてワクワクします。そんなリーナが王女様なのが痛快なところですね。ラノサイ杯を読んで手にとりました。
父親である国王より、地図の作成を依頼されてから物語は動き始めます。王命を受けた一行は傭兵・ダールと出会い、彼も深く関わってきます。


末の王女という立場のファンタジーだと、王宮を舞台にした陰湿なやりとりがあって気が滅入るかなと心配しましたが、これは杞憂でした。
一番心を許せる国王が信頼できる人のようだし、リーナの兄弟は感覚がずれている人もいるとはいえ、優しく見守ってくれる人が多そうで安心しました。幼い頃からの付き合いであるサラもいますし。
リーナの姉であるパルヴィも怪しげなポジションにいましたが、いいところで登場しておいしい部分を掻っ攫っていきましたね〜。


リーナは地図作成に関しての知識はもちろん市民感覚もあるし、分をわきまえた振る舞いまでできるお姫様なので、とても好感を持ちやすいです。まして、地図への熱い思いまであるのだから好きにならざるを得ないです。
まとまらないながらも、子供たちが自分の町の地図を作成し、その存在意義を知れば知るほど、リーナはうれしくなっただろうなーと思います。
どこまでも真っ直ぐで、でも茶目っ気もあるリーナが魅力的です。リーナが趣味で描いている地図にもそれが現れていると思います。キャッチコピーの「本格マッピングファンタジー」というフレーズもお気に入りです。


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