付喪堂骨董店〈3〉―“不思議”取り扱います
御堂彰彦『付喪堂骨董店〈3〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)』メディアワークス,2007
シリーズ感想
御堂彰彦さんの作品感想
首輪の効果を確かめるために、服を脱げと言われたときの舞と刻也のやりとりがたまらないです。お約束をはずさない子ってついニヤニヤ鑑賞してしまいますよね。都合のいい女とか言わないように。
「大人って嘘がへたよね」が印象的な女の子・麻美と子猫を探す話「箱」糸繰りとねじ巻き人形の魂の話「人形」彼氏と夢の中で会う話「夢」舞と刻也に呪いがかかる「眠り姫」以上、四話が収録されています。
「人形」は昔話の形式で語られているので、なんか切なくなります。もうどうにもならない感じが、初っ端から伝わってくるのですよ。
「夢」じわじわきました。原因となる女の子の気持ちがシンプルで、これまでの欲望の中でも一番分かりやすいだけに苦しい。
一線を越えるか超えないかなんて、少しのタイミングかな。複雑な話じゃなくて、いつになく愚直に真正面から描いてあり印象に残っています。
単純に楽しいのはやっぱり最終話の「眠り姫」なんですけどね。抱き合ってる状況を言い換えようとしてうまくいってない舞にぐふふふふ。無表情っこの内面が書かれたらたまりません。
刻也と舞の文章が交互にくるのですが、互いにリピートになってて、この繰り返しのリズムが小気味よく楽しさ倍増です。
呪いを解く方法も案の定な展開で、終盤の気持ちが強くなっていく辺り、早くページを捲りたいけど二人の気持ちをもっと転がし味わいたいとも。この二人を間近で見ていられる都和子さんがうらやましいですね。